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    2017/04/06 18:42

     飛騨高山は美しい自然と街並みで有名ですが、古くより一流の職人や工匠を生み出す地としても知られています。8世紀の飛鳥時代には、その豊かな森林資源を利用した木工技術が発達し、職人たちは「飛騨の匠」と呼ばれていました。「大宝律令」に、「飛騨国のみ課税を免じかわりに工匠10人を朝廷へ奉仕させる」と書かれている事からも、その技術の高さが伺えます。

      

     飛騨高山の特産品である飛騨春慶塗りの歴史は江戸時代に遡ります。大工の棟梁の高橋喜左衛門は、偶然打ち割ったサワラの木目の美しさに魅了され、それを活かした盆を制作し、高山城城主金森可重の子である金森重近に献上しました。その木目を気に入った重近が塗師の成田右衛門に木目を際立たせる透漆で仕上げさせた事が発祥と言われています。飛騨春慶は木地師と塗師の二人三脚の手作業により生まれる芸術なのです。

     その特徴はその透漆の美しさにあります。木目を透かして見ることが出来るほどに透き通る透漆は、琥珀色ないし紅色に彩られます。水飴のようなとろぉ~りとした手触りが特徴で、使い込むにつれて色に深みが増していきます。


     飛騨春慶は伝統的に蛤型の盆や花器などで有名ですが、現代製品の装飾に利用されたり、異文化とのコラボレーションが行われています。 2013年に開催された「飛騨高山文化芸術祭」では、イタリアのクレナモ市の弦楽器職人リカルド・ベルゴンツィ氏のバイオリン、ビオラ、チェロを飛騨春慶塗師の熊崎信行氏が春慶塗りの技法で鮮やかに塗上げるという国を超えた職人同士の共同制作が実現しました。


    (打ち合わせをするベルゴンツィ氏と熊崎氏  出典:飛騨経済新聞)


    伝統工芸でありながら、斬新な飛騨春慶塗りの漆器。観光で飛騨高山に行く際は、飛騨春慶の工房へも立ち寄ってみてはいかがでしょうか。飛鳥時代より語られる積年の職人の業を感じるには最適な品ばかりです。